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米長邦雄と内藤國雄の「勝負師」を読んでいてドキっとしたことがあったことをふと思い出した。

最近の実戦譜はつまらなくなったよね。

新聞や将棋の雑誌には、メジャータイトル戦やその他の大会の実戦譜が掲載されている。
著者が言うには、昔は対局中の二人の様子、昼食やおやつなどの特集などの内容がふんだんに盛り込まれていたのに、今のは奨励会生やアマチュア有段者しか面白くない、とのこと。

なるほど「●●の一手は△手先を読むと…」などの内容は本格的な将棋指しには面白いでしょう。
我々オセラーもその感覚、たぶんわかる。
でもその内容、「ファン」は面白くありません。

将棋や囲碁には「棋士のファン層」がかなりあると聞いたことがある。
特に羽生名人の全盛期なんかは「将棋のルールはわからないけど好き」といったような女性の方までいたという。
それは極端としても、昔から「棋士の生き方」に憧れを持つ人は多いのであろう。





部外者の僕が考えるに、プロ将棋の世界はやはり「プロであるがゆえにドラマチック」が似合うのである。
全国の将棋天才少年が一同に介し奨励会に入る。
天才少年も複数集まればその世界は更なる天才とその他凡才に分けられる。
そこからプロとして食べていける四段になれるのはごくわずか。
相応の年齢(26歳でしたっけ?)が来たら奨励会は強制的に退会させられる。

プロになってからも、A級に上がれるのは本当にごくわずか。
そしてメジャータイトルを取ることができるのは棋力、運などすべてを持ち合わせた天才の中の天才だけが奪取できる。

そしてこれを「二人の男(ライバル)」が繰り広げるのである。
大山康晴vs升田幸三
米長邦夫vs中原誠
羽生善治vs谷川浩二

などなど…。
二人の天才が深遠な宇宙で繰り広げる戦いに憧れを持つ気持ちはすごくわかる。
伝説になるわけだ。





さて以下が今回の本題である。
我々オセロ界は当然長谷川会長がたくさんの著書を通じて歴史に残してくださっている。
しかし会長もお忙しいと思う。
最近はなかなか往年の「熱い文章」を拝見することができない。
オセロニュースのわずかなスペースくらいだろうか。
そして、オセロ界はこのままで本当に良いのだろうか?





ただでさえアマチュア競技であり、将棋のような「憧れ」の対象にはなりにくい世界である。
しかし今年のメジャータイトル奪取した3人はどうだ?

宮岡名人はご自身の結婚式の直後にタイトルを取得。
飯島全日本選手権者も完全なダークホースからタイトルを怒涛の勢いで奪取し「オセロは気合」の名言を全国に轟かせた。
オセロニュースNo.94の自戦譜は感動的ですらある。
そして滝沢王座も史上初の40代世界王者に向けて完全復活。
彼らの人生に焦点を当てると、実はとても刺激的でドラマチックに昇華できるのではないか?

将棋も囲碁もそうだと思うが、新聞社がスポンサーについていることが大きい。
記事を書くのは当然新聞記者だ。
彼らは決して事実だけを時系列で書くような伝書鳩ではない。
「とても優れたプロのシナリオライター」だから伝説に残るような筋書きが今でも受け継がれているのはないかと思っている。

長谷川会長の著作物が最近出版されなくなった今、オセロメジャータイトル戦の「熱量」を文章として残すことが必要だと思うのだがどうだろうか。
今は多くのオセラーがブログなどを書くようになり、量や速報性は以前とは比べ物にならない。
しかしここ数年のメジャータイトル戦、僕はもうなかなか思い出せない。
本として残っていないからだと思う。
誰かが文章として残すことはできないだろうか?





実はこのブログでそれを実践しようと試みたこともあった。
しかし、僕自身の棋力が二流以下であり、文章力も「熱量」を伝えられるような筆力がないことがよくわかった。
そもそもメジャー大会名人戦以外出たことないし。
僕では完全に身分不相応。

ちなみに、僕は村上九段と長島四段が書くオセロの「風景」が本当に好きである。
村上九段の文章はオセロニュースで毎回拝見することができるが、対局の迫力や微細な空気感などがヒリヒリと伝わる感動的な文章をいつも堪能させてもらっている。
長島四段は数少ない正統派オセロブロガー。
そしてあの、2008年全日本選手権ブロック予選の参加地区の葛藤をつづったシリーズは名文の連発であった。
最近でこそエロキモ変態系ブログにおかされたような雰囲気を出すこともあるが元来彼は超硬派な文章にこだわりを見せる人だと思う。
僕の勝手な希望ではあるが、お二人の何か気合入れた文章が著作物になることを将来すごく望んでいるのである。
まあお二人とも本業やプライベートが非常に多忙であると思うのですが…。
すいません勝手なこと言って。
でもお二人の文章はとても好きです。





僕は初学者の頃「早わかりオセロ」で戦術の基礎を学び、「オセロ大観2」で「オセロの熱さ」を学んだ。
早オセだけではたぶん大会には出ていなかったと思う。

あの熱さがジンジンと伝わってくるような会長の文章をまた読みたい。
そしてもちろん他の誰かが書いた本も読んでみたい。
そうふと思った連休明けの夜中であった。